ツール・ド・ロマンディ-Review

目前に控えたジロ組と、先を見据えるツール組とそれぞれが調整レースの一環として臨むツール・ド・ロマンディ。

今年はスプリンターには厳しいコース設定となったものの、その分波乱もあった全6ステージとなりました。

 

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ツール・ド・ロマンディ-4月24-29日

 

●プロローグ(Lausanne、3.34kmTT)-4月24日

 

【結果】

1.ジェラント・トーマス(イギリス、SKY) 3:29

2.ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) +04″

3.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) +06″

 

【総合】

1.ジェラント・トーマス(イギリス、SKY) 3:29

2.ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) +05″

3.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) +06″

 

●チーム総合

SKY 10:39

 

●ヤングライダー賞

ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) 3:34

 

フルリザルト(公式サイト)

 

3km強のショートTTで幕開け。

 

ここを制したのは、4月上旬のトラック世界選チームパシュートで世界新記録を更新しアルカンシェルを獲得したトーマス。

トラック世界選では4000mインディビジュアルパシュートにも出場しており、ほぼ同じ距離で争われたこのコースに最も適していたと言えるでしょう。

2位にはニッツォロ、3位にはカヴェンディッシュと、スプリント力のある選手が上位に顔を見せました。

SKYはトップ10に3人を送り込み、11位スタートのウィギンスも含め最高の出だしとなりました。

 

ジロに向けて調整出場の別府選手は、18秒遅れの70位。

 

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●第1ステージ(Morges~La Chaux・de・Fonds、184.5km)-4月25日

 

【結果】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 4:50:23

2.リューウェ・ウェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) s.t.

3.パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) s.t.

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 4:53:51

2.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +07″

3.バウク・モレッマ(オランダ、ラボバンク) +09″

 

●チーム総合

SKY 14:41:59

 

●ヤングライダー賞

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 4:54:02

 

●スプリント賞

ステフ・クレメント(オランダ、ラボバンク) 6pt

 

●山岳賞

ファブリス・ジャンデボー(フランス、ソール・ソジャサン) 8pt

 

フルリザルト(公式サイト)

 

今大会の中では比較的難易度の低いステージと言われていたものの、結果的にスプリンターはゴールまで残り11kmの3級山岳までに脱落。

 

SKYはレースをコントロールしながらも、リーダージャージのトーマスやエーススプリンターのカヴェンディッシュを切り離し、ウィギンスの総合狙いに完全シフト。

逃げ以外にもメイン集団からたびたびアタックが繰り返される激しいレースは、生き残った70人弱によるスプリントに。

 

ラボバンクが積極的に牽く中、早々に飛び出したのはウィギンス。

約400mにわたるロングスプリントを制し、見事なステージ優勝を果たしました。

同時に、リーダージャージも獲得しています。

 

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●第2ステージ(Montbeliard〔Fr〕-Moutier、149.1km)-4月26日

 

【結果】

1.ジョナタン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン) 3:48:11

2.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) s.t.

3.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) s.t.

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 8:42:02

2.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +07″

3.バウク・モレッマ(オランダ、ラボバンク) +09″

 

●チーム総合

SKY 26:06:32

 

●ヤングライダー賞

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 8:42:13

 

●スプリント賞

ステフ・クレメント(オランダ、ラボバンク) 7pt

 

●山岳賞

ラース・イェティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル) 21pt

 

フルリザルト(公式サイト)

 

フランススタートとなった第2ステージ。

ステージ距離が短かったこともあり、逃げと集団の差は3分以内で推移。

終盤に集団から飛び出しを図る選手が出たものの、逃げも含め全員残り5kmを切って吸収。

 

標高差40mを一気に上るゴールスプリントは、グリーンエッジやガーミンが中心にスプリント態勢へ。

ヘシェダルやデイヴィスが前方でスプリントを開始するも、後方から伸びてきたのはイヴェール。

上りのパンチ力に長けたイヴェールがステージ優勝。

チームとして、今シーズンのUCIワールドツアー3勝目を挙げました。

 

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●第3ステージ(La Newveville~Charmey、157.6km)-4月27日

 

【結果】

1.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) 3:58:29

2.ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル) s.t.

3.パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) s.t.

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 12:40:31

2.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +01″

3.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +07″

 

●チーム総合

SKY 38:01:59

 

●ヤングライダー賞

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 12:40:42

 

●スプリント賞

ガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ) 12pt

 

●山岳賞

ラース・イェティング・バク(デンマーク、ロット・ベリソル) 21pt

 

フルリザルト(公式サイト)

 

ウィギンスの総合優勝に向けてレースを支配するSKYは、スプリンター・カヴェンディッシュも献身的な集団牽引。

結果的に、ウィギンスは危なげなく集団内でゴールします。

 

ゴールに向かって上る終盤に、総合上位を狙うスピラックやクロイツィゲルなど数人がアタックするも、いずれも吸収。

最終局面まで集団前方を走ったウィギンスはスプリントに参戦せず。

その後ろから飛び出したのはスプリント力のあるLLサンチェス。

後方からの追い上げをかわし、トップでゴールに飛び込みました。

 

結果、LLサンチェスはウィギンスに1秒差の総合2位に浮上しています。

 

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●第4ステージ(Bulle~Sion、184.0km)-4月28日

 

【結果】

1.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) 4:16:13

2.リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール) s.t.

3.ブラニスラウ・サモイラウ(ベラルーシ、モビスター) s.t.

 

【総合】

1.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) 17:36:35

2.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) +09″

3.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +16″

 

●チーム総合

SKY 52:50:38

 

●ヤングライダー賞

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 17:36:55

 

●スプリント賞

ペテル・イグナテンコ(ロシア、カチューシャ) 12pt

 

●山岳賞

ペテル・イグナテンコ(ロシア、カチューシャ) 24pt

 

フルリザルト(公式サイト)

 

1級山岳を3つ超えるクイーンステージで総合上位に動きが発生。

 

最後の1級山岳で逃げを全て吸収し、ゴールに向かってのダウンヒル。

ゴールスプリントに向けて、アスタナやBMCが積極的に牽く集団から先手を打ったのは、前日ステージ優勝のLLサンチェス。

勢いそのままにゴールラインを通過、2日連続のステージ優勝を果たしました。

そして、リーダージャージをウィギンスから奪うことに成功しました。

 

一方のウィギンスは集団でゴールすることに専念し、この日を終えLLサンチェスとは9秒差に。

トップから1分以内に37人がひしめく大激戦は、翌日のTTで勝負が決まります。

 

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●第5ステージ(Crans・Montana~Crans・Montana、16.5kmTT)-4月29日

 

【結果】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 28:56

2.アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +00″

3.リッチー・ポート(オーストラリア、SKY) +16″

 

16.5kmとはいえ、中盤に1級山岳が控える難コースでのTT。

多くの選手がTTバイクを回避し、ノーマルバイクにDHバーを装着して臨みました。

 

この日優勝候補筆頭に挙げられていたウィギンスは、中盤にメカトラでバイクを降りるシーンがありながらもゴールではトップタイム。

総合トップのLLサンチェスが1分23秒遅れに沈み、逆転での総合優勝となりました。

 

また、ヤングライダージャージ着用のタランスキーが大健闘し、ウィギンスとコンマ差のステージ2位。

そのまま総合でも2位にジャンプアップし、レースを終了しています。

 

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【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 18:05:40

2.アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +12″

3.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +36″

4.リッチー・ポート(オーストラリア、SKY) +45″

5.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +50″

6.ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +59″

7.シルヴェスター・シュミッド(ポーランド、リクイガス・キャノンデール) +1’03”

8.サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +1’13”

9.ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ) +1’14”

10.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +1’15”

 

●チーム総合

SKY 54:18:26

 

●ヤングライダー賞

アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 18:05:52

 

●スプリント賞

ペテル・イグナテンコ(ロシア、カチューシャ) 12pt

 

●山岳賞

ペテル・イグナテンコ(ロシア、カチューシャ) 24pt

 

フルリザルト(公式サイト)

 

【戦評】

全体を通して、初日と最終日に設けられたTTが総合争いを決めた形となった今年のロマンディ。

 

やはりウィギンスを筆頭に、SKYのチーム力が抜きんでていたと言えるでしょう。

総合トップ10にウィギンス、ポート、ロジャースを送り込みました。

特に今シーズンのウィギンスの高いレベルでの安定度は高く、山岳での走りだけではなく第1ステージで見せたようなスプリントでも勝負できることを証明。

これから先、ハイレベルなレースとなる中で豊富なトラック経験を活かしながらのオールラウンドな走りは大きな魅力となるでしょう。

もちろん、鉄壁のアシスト陣がウィギンスを支え戦術にバリエーションを与えていることも見逃せません。

 

最終TTで崩れ、総合10位に終わったLLサンチェスの好調さも光りました。

ステージ2勝のほか、ステージ3位が1回と、毎ステージの好リザルト。

得意とするコースが多かったことも味方したことでしょう。

本来得意とするTTの調子が上向けば、まだまだステージレースで総合上位を狙えそうです。

 

総合2位のタランスキーは、まだ23歳。

新時代のオールラウンダーとして期待がかかる1人ですが、それに違わぬ走りを見せました。

昨年のロマンディも総合9位。

その他のレースでの主だった成績はまだ残せていませんが、今後確実に頭角を現すライダーとして押さえておきたいところです。

オールラウンダーの中でも、TTに強さを発揮する選手。

 

ロマンディでの結果を受けてジロ参戦を判断するとしていたバッソは、2分34秒遅れの総合33位。

TTでの遅れが響きましたが、その他のステージではいずれもメイン集団でゴール。

徐々に調子が上ってきていると見ても良いかもしれません。

2年前のジロ制覇時も、直前のロマンディを途中リタイアしており、自らの身体と相談しながらの走りができていれば今年のジロでも活躍の可能性はあるでしょう。

 

ツール王者のエバンスも2分07秒遅れの総合29位とパッとせず。

体調不良でアルデンヌを回避した直後だったこともあり、ここからツールに向けてどう仕上げていくか注目していきたい。

 

ジロ前の最終調整として出場した別府選手は無事完走。

大会期間中にバイクポジションを変更するなど、徐々に準備を進めて万全の状態でジロ本番へと突入する構え。

いよいよ活躍の狼煙を上げたと言えるでしょう。

 

ツール・ド・ロマンディオフィシャルサイト

http://www.tourderomandie.ch/

 

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