アムステル・ゴールドレース-Review

アルデンヌクラシックの開幕を告げるアムステル・ゴールドレース。

例年、ゴールポイントのカウベルグで劇的な幕切れが待っているものですが、今年もこのレースならではの展開となりました。

その主役となったのは、3連覇を狙ったクラシックの帝王でもなく、激坂のたびに絶対的な力を見せるスペシャリストでもなく、これまであと一歩のところで大魚を逃していた1人のイタリア人選手でした。

 

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アムステル・ゴールドレース(Maastricht~Valkenburg、256.5km)-4月15日

 

 

【結果】

1.エンリコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ) 6:32:25

2.イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル) s.t.

3.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

4.オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) +02″

5.トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +02″

6.フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) +02″

7.サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +02″

8.ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ガーミン・バラクーダ) +04″

9.リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール) +04″

10.バウク・モレッマ(オランダ、ラボバンク) +04″

 

フルリザルト(公式サイト)

 

9名の逃げグループは最大13分半のリード。

残り100km前後からメイン集団では、BMCやレディオシャック・ニッサンがコントロールし逃げとの差を詰めていきます。

そのうち、ペースアップに対応できない選手たちがアップダウンのたびに徐々に脱落。

その中にジルベールのアシストを務めると見られたエバンスも含まれます。

結局、エバンスは早々にリタイア。

 

メイン集団との差が縮まるにつれ、逃げ集団の統率も乱れ始めます。

残り30kmを切って、アージェードゥーゼルの21歳・バルデがアタック、ガーミンのハウズを従え2人で進みます。

バルデは残り10kmを切るまで逃げ続け、最終的にはゴールのカウベルグまでメイン集団で粘る好走。

文句なしの敢闘賞を獲得しています。

 

メイン集団は終盤にかかり、有力選手が続々前に顔を出し始めます。

集団コントロールはBMC。

サンタンブロジオが長いこと牽き続け、残り10kmからはファンアーヴェルマートがジルベールのためにコントロールします。

一時ヴォクレールとサガンがアタックを決めかけますが、これはBMCやΩクイックが冷静にチェック。

しかし、その直後に飛び出したフレイレがレースを大きく動かすこととなります。

 

フレイレは10秒前後の差でエスケープ。

集団ではファンアーヴェルマートやテルプストラらが必死の追走。

それでも差はなかなか詰まらないまま、最後のカウベルグへ。

 

フレイレを追うべくジルベールが満を持して激坂スプリント。

その他有力選手はカウベルグの入口での悪ポジションがたたり、なかなか伸びず。

ジルベールのチェックをしかけたクネゴは、SKYの売り出し中ライダー・ノルドハウグと絡み落車。

勾配が緩くなったところでジルベールをかわし伸びを見せたのが、ガスパロット・ファネンデルト・サガンの3人。

フレイレをパスしゴール前スプリントは、サガンが先行するも最後まで伸びを見せたガスパロットが歓喜のゴール。

半車輪差でファネンデルトが惜しくも2位、ゴール直前で失速のサガンが3位に。

 

最後の最後まで逃げたフレイレは大健闘の4位。

3連覇を狙ったジルベールは6位、大本命とも言われたロドリゲスはまさかの24位に終わっています。

 

【優勝予想アンケート結果】

4/13~15に実施した優勝予想アンケートの結果(得票数17、小数点以下四捨五入)

 

ホアキン・ロドリゲス 24%

アレハンドロ・バルベルデ 24%

サムエル・サンチェス 12%

ダミアーノ・クネゴ 12%

フィリップ・ジルベール 6%

サイモン・ジェランス 6%

ペテル・サガン 6%

アンディ・シュレク 6%

トマ・ヴォクレール 6%

 

ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

次回は4/22開催の「リエージュ~バストーニュ~リエージュ」での実施を予定しております。

4/18の「フレーシュ・ワロンヌ」でもやりたいところですが…、私の手が追い付けば、ということで…(笑)。

 

【戦評】

当初予想されていた優勝候補が最終局面でことごとくもたつき、伏兵が力を示す結果となった今回。

 

ガスパロットは2010年3位と相性の良いこのレースで、ビッグな勝利をつかみました。

これまでもティレーノ~アドリアティコの劇坂ステージを制するなど、今回のようなコースレイアウトは得意とするところだったことは大きいでしょう。

アスタナチームとしても、今年のクラシック全体を通して集団をコントロールするなど良い動きが目立っており、あとは結果が伴えばというところでついに掴み取った栄冠でもありました。

最後のカウベルグにはイグリンスキーとガスパロットを確実に残し、2人で勝負するのがチームオーダーのようにも窺えました。

実際、先頭に立ったジルベールをチェックしていたのはイグリンスキー、そしてジルベールがスプリントを開始したと同時にイグリンスキーがガスパロットを解き放ち、あとはガスパロットがポイントを定めながら勝負するといった動きをしていました。

途中で飛び出したポンツィを含めアシスト6人によるコントロールと、イグリンスキーからガスパロットへのホットラインが上手く機能したチーム全体の勝利と言えるでしょう。

もちろんガスパロット自身の勝負強さも光り、時期尚早ではありますがほぼ同じコースを使う世界選手権のイタリア代表有力候補になったのではないでしょうか。

 

惜しくも優勝を逃したファネンデルトもレース中から脚色の良さが窺えた1人。

チームとしては、もう1人のエース・ファンデンブロックが落車による不調というトラブルを乗り越えてのリザルト。

ファネンデルトは昨年のツールで頂上ゴールを制し、あわや山岳賞獲得かというところまでの活躍を見せ、その登坂力には定評がありました。

また、昨年のアルデンヌクラシックではハットトリックを達成したジルベールの最終アシストを務め、ジルベールがBMCに移籍する際には「最も一緒に移籍したかったライダーだった」と言わせたほどの力の持ち主。

これまではアシストに徹することが多く目立った存在ではありませんでしたが、ここでついに本領発揮したということでしょう。

ガスパロットともども、次戦のフレーシュ・ワロンヌの優勝候補に名乗り出たと言えそう。

 

フレイレやジルベールをパスした際に真っ先にスプリントを仕掛けたサガンは、ゴール直前で失速。

終盤にヴォクレールと飛び出すシーンもあり、好調さが見られたものの惜しくも勝利を逃す形に。

上位3選手の中では最もスプリント力はあったはずですが、単純にスプリント力だけで図ることができないのがクラシックの難しさ・奥深さなのでしょう。

今年の春のクラシックはこれで終了予定とのこと、元々の実力は言うまでもない分、今回の経験を活かす来年以降が楽しみ。

 

スプリンターによる大勝利目前で逆転を許したフレイレの動きも見事。

チームにはエース・ロドリゲスが控え、そのための動きと思いきや自ら優勝を狙う走り。

ロドリゲスが不調に終わったことを考えると、フレイレの動きは一か八かの賭けだったのかもしれません。

今シーズン限りでの引退が囁かれてはいますが、まだまだ健在。

秋に開催の世界選手権での活躍も楽しみな走りでした。

 

3連覇を狙ったジルベールは、カウベルグで先手を打ったものの“お家芸”のタレを披露。

しかし終始集団前方でレースを進め、シーズン序盤の不調を脱しつつあるのは間違い無さそう。

サンタンブロジオ、ファンアーヴェルマートらアシスト陣も層が厚く、あとは今回リタイアのエバンスが機能すればもう少しジルベール自身の負担は軽くなりそう。

徐々に調子を上げていることを考えれば、次戦フレーシュは分かりませんが、アルデンヌ最終戦・リエージュ~バストーニュ~リエージュでは良い走りが見られるかもしれません。

 

その他、直前のプラバンツ・ペイルで優勝し好調のヴォクレールの安定感、昨年までの不調を脱し復活のノチェンティーニらベテランも好走。

ラボバンクの第1エースに成長しつつあるモレッマもトップ10入りを果たしました。

 

次戦のフレーシュ・ワロンヌ、最終戦のリエージュ~バストーニュ~リエージュに向けて、今回良いところなしだったシュレク兄弟やロドリゲス、バルベルデらアルデンヌ上位常連の選手たちがどう調整、または立て直しを図るかも見もの。

最後のカウベルグで激しく落車したクネゴの回復具合もチェックしておきたいところです。

 

日本人として唯一参加の土井選手は11分31秒遅れの140位で完走。

レース後半から終盤にかけて、集団前方へチームメートを送り込む役割を務め、無事任務を果たした格好。

アルデンヌ残り2戦につながる走りを見せたと言えるでしょう。

 

アムステル・ゴールドレースオフィシャルサイト http://www.amstelgoldrace.nl/

 

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